いじめ防止基本方針

平成29年度 改訂
平成30年3月1日 改訂
平成31年4月1日 改訂

いじめ防止基本方針

1 はじめに

いじめは、「当該児童生徒と一定の人間関係にある児童生徒が行う心理的・物理的影響を宛てる行為で、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものであり、インターネットを通じて行われるものを含む。」というものである。
いじめはどの児童にも起こりうる、どの児童も被害者にも加害者にもなりうるという事実を踏まえ、児童の尊厳を保持することを目的に、教育委員会、学校、地域住民、家庭、その他の機関及び関係者との連携のもと、いじめ問題の克服に向け、未然防止、早期発見、早期対応・組織的対応による早期解決、再発防止等に全力で取り組むものとする。
〇けんかやふざけ合いであっても、児童生徒の感じる被害性に着目し、該当するか否かを判断する。
〇好意で行った行為が、相手に苦痛を感じさせてしまった場合も、いじめに該当する。ただし、いじめという言葉を使わずに、柔軟に対応することも可能である。

2 いじめ防止のための取組

(1)教職員による指導について


・いじめの態様や特質、原因・背景、具体的な指導上の留意点などについて、校内研修や職員会議での周知を図り、平素から教職員全員の共通理解を図っていく。(インターネット上のいじめの現状や発達障がい、LGBTの現状の理解も含める。)
・児童に対して、学校の教育活動全体を通じた道徳教育や全校集会、学級活動等でも、校長や教職員が、日常的にいじめの問題について触れ、「いじめは人間として絶対に許されない」との雰囲気を学校全体に醸成していく。
・一人一人を大切にした分かりやすい授業づくりを進め、授業についていけない焦りや劣等感などが過度のストレスとならないようにする。
・教職員の言動が児童を傷つけたり、他の児童によるいじめを助長したりすることのないよう、指導の在り方に細心の注意を払う。

(2)児童生徒に培う力とその取組

①児童に培う力
・他人の気持ちを共感的に理解できる豊かな情操
・自分の存在と他人の存在を等しく認め、お互いの人格を尊重する態度
・児童が円滑な他者とコミュニケーションを図る能力(自他の意見の相違があっても、互いを認め合いながら建設的に調整し、解決していける力や、自分の言動が相手や周りにどのような影響を与えるかを判断して行動できる能力を育てる。)
・ストレスに適切に対処できる力(ストレスを感じた場合でも、それを他人にぶつけるのではなく、運動・スポーツや読書などで発散したり、誰かに相談したりするなど、ストレスに適切に対処できる力を育む。
) ・自己有用感、自己肯定感
②その取組
・学校の教育活動全体を通した道徳教育や人権教育の充実、読書活動・体験活動等の推進
・一人一人を大切にしたわかりやすい授業づくり
・一人一人が活躍できる集団づくり
・自分の役割をきちんと果たすことで、他人の役に立っていると感じ取ることのできる機会の設定
・目標や目的を明確にして、主体的に取り組むことを通して困難な状況を乗り越えるような体験機会の設定
・社会参画活動の推進

(3)いじめ防止のための組織(法22条:必置)と具体的な取組

・いじめの防止に関する措置を実効的に行うため、下記関係者からなる「いじめの防止等の対策のための組織」を置く。

【組織の名称】 【構成員】
「いじめの防止等の対策のための組織」 ◎校内教職員:校長、教頭、教務主任、生徒指導主任、教育相談担当、養護教諭、学級担任
◎校外関係者:PTA 会長、教育後援会長、地区民生委員
*会議メンバーの決定・招集は、その都度考慮する。

・当該組織は、学校が組織的にいじめの問題に取り組むにあたって中核となる役割を担い、下記の具体的取組を行う。

内容
取組 ○学校の基本方針に基づく取組の実施や具体的な計画の作成・実行・検証・修正等を行う。
ⅰ いじめを正しく理解し対応するための校内研修や職員会議等の情報提供の機会を設定する。
ⅱ 学校の教育活動全体を通じ、児童が活躍でき、他者の役に立っていると感じることのできる機会を全ての児童に提供し、児童の自己有用感が高められるようにする。
○いじめの相談や通報の窓口としての対応を行う。
○いじめの疑いに関する情報や児童の問題行動等に係る情報の収集と記録、共有を行う。
○いじめの疑いにかかる情報があったときには緊急会議を開き、いじめの情報の迅速な共有、関係児童への事実関係の聴取、指導や支援体制・対応方針の決定と保護者との連携等の対応を組織的に行う。

(4)児童の主体的な取組

・児童会がいじめ撲滅キャンペーンや相談箱の設置等、児童自らがいじめの問題について主体的に考え、いじめ防止を訴えるような取組を推進する。このような主体的な取組を通して、些細な嫌がらせや意地悪であっても、しつこく繰り返 したり、みんなで行ったりすることは、深刻ないじめになることを学ぶ。
・教職員主導で児童が「やらされている」活動に陥ったりすることがないよう、日頃から活動をチェックし、教職員は陰で支える役割に徹するように心がける。

(5)家庭・地域との連携

・学級懇談会、学校(学級)だより、学校ホームページ等を通じて、「学校いじめ防止基本方針」について理解を得るとともに、地域や家庭に対して、いじめの問題の重要性の認識を広めながら緊密な連携協力体制を図っていく。
・学校、家庭、地域がネットいじめを含めたいじめの問題について協議する機会を設け、組織的な対策を推進する。

3 早期発見の在り方

(1)見えにくいいじめを察知するための具体的な対応

・いじめは、大人の目につきにくい時間や場所で行われたり、遊びやふざけあいを装って行われたりするなど、大人が気づきにくく判断しにくい形で行われることを認識し、日頃から児童との信頼関係の構築に努め、児童が示す小さな変化やシグナルを見逃さないようアンテナを高く保つとともに、教職員が積極的に児童の情報交換や情報共有を行い、いじめを積極的に認知するよう努める。

○週1回の子どもを語る会
○6月と11月のアンケート調査
○日常の情報交換
・定期的な記名式アンケート調査により、いじめの全体像を把握しながら、定期的な教育相談や日常の観察による声かけを実施することにより、一人一人の状況把握に努め、情報を収集する。また、児童が日頃からいじめ等のことについて話しやすい学級経営や信頼関係の構築に努める。

(2)相談窓口などの組織体制

・保健室や教育相談室を相談窓口として児童および保護者が抵抗なく利用できるよう、常にオープンにしておく。
・児童や保護者の悩みを積極的に受け止められているか、定期的に体制を点検し、児童および保護者、教職員がお互いに抵抗なくいじめに関して相談できる体制を整備する。
・教育相談等で得た児童の個人情報については、対外的な対応の方針を明確にし、適切に扱う。

(3)地域や家庭との連携

・学校と家庭、地域が組織的に連携・協働する体制を構築し、双方向の情報交換がスムーズにできるようにする。

4 いじめに対する措置(早期対応・組織的対応)

※いじめ対応の基本的な流れ

○いじめを認知した場合、又はいじめと疑われる事実を認知した場合、躊躇なく校内におけるいじめ防止等に係る組織に報告し、校長のリーダーシップのもと、次の内容を検討・決定し、組織的に事案の対応に当たる。

検討項目 ①指導体制・方針
②当該いじめに関わる児童に対する具体的な指導等の対応
③保護者との連携のあり方
④今後の対応や実践についての研修方法

〇校長は事実確認の結果について、責任を持って学校の設置者に報告するとともに、被害・加害双方の児童の保護者に連絡する。

いじめ情報キャッチ

(1)素早い事実確認・報告・相談

・いじめの事実確認においては、いじめの行為を行うに至った経緯や心情などをいじめている児童から聴き取るとともに、周囲の児童や保護者など第三者からも詳しく情報を得て正確に把握する。なお、保護者対応は、複数の教職員(担任・特別支援コーディネーター・生徒指導主任)で対応し、事実に基づいて丁寧に行う。
・短時間で正確な事実関係を把握するため、複数の教職員で対応することを原則とし、管理職等の指示のもとに教職員間の連携と情報共有を随時行う。

(2)発見・通報を受けての組織的な対応

・発見、通報を受けた教職員は、校長に報告し、「いじめの防止等の対策のための組織」による緊急会議を開き、組織的対応を図る。
・その後、当該組織が中心となり、関係児童から事情を聴き取るなどして、いじめの事実の有無の確認を行う。
・事実確認の結果は、校長が責任を持って学校設置者に報告するとともに、被害・加害児童の保護者にも連絡し、事後対応に当たる。

(3)被害者への対応及びその保護者への支援

・児童に対して
○事実確認とともに、まず、つらい今の気持ちを受け入れ、共感することで心の安定を図る。
○「最後まで守り抜くこと」「秘密を守ること」を伝える
。 ○必ず解決できる希望が持てることを伝える。
○自信を持たせる言葉をかけるなど、自尊感情を高めるよう配慮する。

・保護者に対して
○発見したその日のうちに、家庭訪問等で面談し、事実関係を直接伝える
。 ○学校の指導方針を伝え、今後の対応について協議する
。 ○保護者のつらい気持ちや不安な気持ちを共感的に受け止める。
○継続して定期的に家庭と連携をとりながら、解決に向かって取り組むことを伝える。
○日頃から家庭で児童の変化に注意してもらい、どのような些細なことでも相談するように伝える。

(4)加害者児童及びその保護者への対応

・児童に対して
○いじめた気持ちや状況について、十分聴き、児童の背景にも目を向け指導する。
○心理的な孤立感・疎外感を与えないようにするなど一定の教育的配慮のもと、毅然とした対応と粘り強い指導を行い、いじめが人として決して許されない行為であることやいじめられる側の気持ちをしっかり認識させる。

・保護者に対して
○正確な事実関係を説明し、いじめられた児童や保護者のつらく悲しい気持ちを伝え、よりよい解決を図ろうとする思いを伝える。
○「いじめは決して許されない行為である」という毅然とした姿勢を示し、事の重大さを認識させ、家庭での指導を依頼する。
○児童の変容を図るために、今後の関わり方などを一緒に考え、具体的な助言をする。

(5)集団へのはたらきかけ

・「いじめは決して許さない」という毅然とした姿勢を、全校朝会や学級活動の時間に学校全体や学級に示す。
・当事者だけの問題にとどめず、学級および学校全体の問題として考え、いじめの傍観者からいじめを抑止する仲裁者への転換を促す。
・はやしたてたり、見て見ぬふりをしたりする行為も、いじめを肯定していることを理解させる。
・いじめを訴えることは、正義に基づいた勇気ある行動であることを指導する。

(6)ネットいじめへの対応

・ネット上の不適切な書き込み等については、被害の拡大を避けるため、直ちに削除する措置をとる。名誉毀損やプライバシー侵害等があった場合、プロバイダに対して速やかに削除を求めるなど必要な措置を講じる。なお、児童の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは、直ちに山形警察署に通報し、適切に援助を求める。
・早期発見の観点から、学校設置者と連携し、学校ネットパトロールを実施することにより、ネット上のトラブルの早期発見に努める。また、児童が悩みを抱えこまないよう、法務局・地方法務局におけるネット上の人権侵害情報に関する相談受付など、関係機関の取組についても周知を図る。
・パスワード付きサイトやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)、携帯電話のメールを利用したいじめなどについては、より大人の目に触れにくく、発見しにくいため、校内における情報モラル教育を進めるとともに、保護者においても学級懇談会、学校だより等で積極的に理解を求めていく。

(7)いじめ解消の判断

「いじめの解消」の要件 ①いじめに関わる行為が継続して止んでいること(最低3か月間以上)。
②被害児童が心身の苦痛を感じていないこと(本人・保護者との面談等により確認)

5 重大事態への対処

(1)調査組織の設置(法28条①:必置)と調査の実施

・いじめにより、当該児童の「生命、心身又は財産に重大な被害」が生じた疑いがあると認められた時、又、いじめにより、当該児童が「相当の期間(年間30日を目安とする)」に学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認められ た時、重大事態への対処、発生防止に資するため、下記の第三者による調査組織を設け、質問票の使用、その他の適切な方法により重大事案に係る事実関係を明確にするための調査を行う。

重大事案と想定されるケース ○児童が自殺を図った場合
○身体に重大な障害を負った場合
○金品等に重大な被害を被った場合
○精神性の疾患を発症した場合 等
組織の構成 ※校内におけるいじめ防止のための組織「いじめ対策プロジェクト会議」を母体としつつ、村山教育事務所「いじめ解決支援チーム」の支援・協力を得る。(具体的な調査組織の構成員については山形市教育委員会の指示を仰ぐ)
○弁護士
○精神科医
○学識経験者
○心理や福祉の専門家等の専門的知識および経験を有する者
※当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない者

(2)校内の連絡・報告体制

・校内における連絡・報告体制は、別紙「学校緊急対応マニュアル」による。

(3)重大事態の報告

・当該調査に係る重大事態の事実関係、その他の必要な情報等について、校長は、素早く山形市教育委員会を通じて山形市長へ報告する。

(4)外部機関(市町村教育委員会、警察等)との連携 等

・重大事案に係る事実関係の調査、及び事後対応、発生防止等については、必要に 応じ山形市教育委員会、山形警察署、児童相談所、村山教育事務所の「いじめ解 決支援チーム」と連携を図りながら進めていく。

6 教育相談体制・生徒指導体制

(1)教育相談体制と活動計画

・「いじめについてのアンケート」の実施、それを受けた「児童への聞き取り」を通し、児童の心の中の声を吸い上げ、 いじめの問題の未然防止、早期発見、早期対応に努める。
・担任、特別支援コーディネーター、養護教諭等の連携により、教育相談体制を機能させる。
・具体的な計画は、学校経営概要による。

(2)生徒指導体制と活動計画 等

・児童一人一人が集団の一員として活動ができるよう、どの活動においても価値づけを行い指導する。
・指導方針の共有、組織的指導を常に意識して指導、支援にあたる。
・具体的な計画は、学校経営概要による。

7 校内研修

(1)いじめの理解、組織的な対応、指導記録の生かし方等に関する研修計画

・いじめに係る研修を年間計画に位置づけ、学期に一度、いじめを始めとする生徒指導上の諸問題等に関する校内研修を行い教職員の共通認識を図る。
・特に「道徳の授業」の充実、「生徒指導の機能を生かした授業づくり」について研修を深め、いじめの問題の未然防止に努める。

8 学校評価

(1)いじめの問題への対応と評価の基本的な考え方

・学校評価において、その目的を踏まえて、いじめの問題を取り扱う。また、評価結果を踏まえて、その改善に取り組んでいく。

(2)地域や家庭との連携

・学級懇談会や学校だより等において、いじめに係る学校基本方針やその取組、学校評価の結果等についてお知らせし、いじめの問題の重要性の認識を広めるとともに、家庭や地域との緊密な連携協力を図る。

(3)校内におけるいじめの防止等に対するPDCAサイクル 等

・いじめ防止のための組織が策定した計画に基づき、常に組織的な対応による、いじめ問題の未然防止、早期発見、早期対応の取組を徹底し、その都度、取組状況を児童の視点で客観的に振り返り、改善を図っていく。
・学期始めの職員会議において、いじめの問題への対応について成果と課題を確認しながら改善の方策を明確にし、全教職員で共通理解を図る。

9 その他

(1)社会参画活動、縦割り班活動による自己有用感、自己肯定感の育成

・地域行事やスポーツイベントへの積極的参加、縦割り班による異年齢交流等を通し、児童の自己有用感、自己肯定感を育成し、いじめ問題の未然防止に努める。

(2)校務の効率化

・教職員が児童と向き合い、いじめの防止等に適切に取り組んでいくことができるようにするため、一部の教職員に過重負担がかからないように校務文章を適正化し、組織的体制を整えるなど、校務の効率化を図る。